肌に乾燥が大敵であることは、多くの人が知っている事実です。
乾燥はさまざまな肌トラブルを生み、肌の老化も進めてしまうでしょう。
しかし、肌の乾燥を恐れるあまりに肌を保湿しすぎることも良くありません。
懸命に肌を保湿した結果が、肌トラブルにつながってしまう場合もあるのです。
「肌を美しく保つためには、しっかり保湿すれば安心」というわけではないことを知っておきましょう。
この記事では、過度の保湿によって起こる問題や、正しい保湿の仕方について分かりやすく説明します。
保湿しすぎは逆効果って本当?
「保湿しすぎは逆効果」という噂を耳にしたことはありませんか?
さまざまなスキンケアアイテムを使用して保湿している方も多いと思います。
では、どうして保湿しすぎが肌に良くないのか確認していきましょう。
肌が本来持つ優秀な機能とは
私たちの肌には、「バリア機能」と呼ばれる機能が備わっています。
このバリア機能とは、乾燥や摩擦などの外部刺激から私たちの肌を守るための機能です。
角質層と皮脂膜がこの役割を担っており、肌トラブルなどを防止してくれます。
角質層は本来約0.02mmの薄さですが、環境に応じて厚さを変えることがあります。
例えば、肌を乾燥から守ろうとする角質が厚くなります。
このように私たちの肌はバリア機能によって守られているのです。
保湿し続けるとどうなる?
それでは、保湿し続けるとどのようなことが起きるのでしょうか?
肌が常に保湿された状態だと、角質層が「この肌は乾燥から守らなくてもよい」と判断してしてしまいます。
そうなると、角質層が変化してしまい、本来の機能が果たされなくなります。
肌のバリア機能が低下してしまうことで、肌トラブルが引き起こされてしまい、ニキビや乾燥、湿疹、かゆみなどの症状が出現します。
このような事態を防ぐために、適度にスキンケアをすることが重要なのです。
保湿のし過ぎで起こる肌トラブル
ニキビができてしまう
肌を保湿しすぎると、皮脂の分泌が乱れてしまいます。
皮脂が過剰に分泌されると肌がテカテカしたり、ニキビができることもあるでしょう。
特にニキビができやすい体質の人は過剰保湿になりやすく、結果的にスキンケアによってニキビを増やしてしまう恐れがあるということです。
指先を頬につけたときに、ベタっと指に皮膚がくっついてくるようであれば、皮脂が過剰分泌されている可能性があります。
自分の肌質を見て、過剰保湿にならない保湿方法を探すようにしましょう。
毛穴トラブルが起こってしまう
保湿のしすぎは毛穴の開きを悪化させる可能性があります。
開いた毛穴に保湿剤が入り込むことで、毛穴が開いた状態になってしまうからです。
毛穴トラブルを引き起こすとニキビや吹き出物などができやすくなります。
過剰な油分は毛穴トラブルの原因となることを留意しておきましょう。
毛穴が目立つ理由について知りたい方は「毛穴が目立ってしまう原因とは?毛穴のタイプに合わせたスキンケア方法も解説!」をご覧ください。
肌が痒くなってしまう
保湿をしすぎることで肌のかゆみが生じることがあります。
肌のバリア機能が低下してしまい、カビや細菌が肌に入り込んでしまうからです。
例えば背中ニキビの原因であるマラセチアは油分や皮脂を好みます。
過剰な保湿によって肌に余分な油分や皮脂がある状態はマラセチアが増殖しやすい状況です。
たるんでしまう
肌のハリを生み出すために保湿を行っている人も多くいますが、保湿のしすぎはたるみを引き起こす原因になるため、注意が必要です。
化粧水や乳液などによる保湿を過剰に行うと、肌に本来備わっている保湿機能が低下してしまいます。
保湿機能が低下すると重力に抗えなくなり、たるみが見られるようになるのです。
皮膚炎になってしまう
最悪の場合、保湿によって皮膚炎が引き起こされる可能性があります。
保湿のしすぎで、肌に油分を与えすぎてしまうと、常駐している菌の餌になり、菌が増殖してしまうことがあるのです。
増えてしまった菌が原因で皮膚の炎症に繋がってしまうのです。
この皮膚炎によって顔に赤みが生じたり、ニキビができたり、肌のバリア機能が低下してしまいます。
肌トラブルが見られる場合は皮膚科などの医療機関に相談することも大切です。
- Point
- 保湿しすぎはニキビや毛穴トラブルにつながる
- 肌のバリア機能を低下させる危険性
- たるみや皮膚炎を引き起こす可能性も
保湿ケアでやってはいけない4つのこと
保湿ケアで注意すべきことがいくつかあります。
ここでは、その中から4つを詳しく紹介します。
化粧水叩くように浸透させる
化粧水を叩くように浸透させている方は、そのケア方法をストップしましょう。
肌を叩いてしまうとダメージが加わってしまい、肌トラブルが生じてしまうかもしれません。
化粧水を浸透させる際は、叩くのではなく、優しくなでることを意識しましょう。
ちなみに、同じ理由で洗顔後にタオルで顔をゴシゴシ拭いたり、力強くメイクしたりするのはNGです。
うるおい成分が強いアイテムを重ねる
うるおい成分が強いアイテムを重ねすぎると、バリア機能の低下を招く恐れがあります。
肌がもちっとする程度でスキンケアは十分です。
不要なケアをしないように心がけてください。
どこまでケアしていいかわからないという方は、セットになっているアイテムを選びましょう。
順番を守ってそれらを使用することで、理想的なスキンケアを行えます。
長時間フェイシャルマスクをのせる
長時間フェイシャルマスクをのせるのも避けましょう。
フェイシャルマスクは肌に美容成分を浸透させるのに有効ですが、長時間置いてしまうと成分が浸透しすぎてしまい、肌荒れにつながる可能性があります。
説明欄に使用時間が書いてあるので、それを目安にして適度にケアすることが大切です。
スチーマーを長時間浴びる
スチーマーを長時間浴びるのもNG行為です。
スチーマーはスキンケア前の肌のコンディションを整えるのに効果的ですが、水分が蒸発しやすくなります。
水分が蒸発してしまうと肌の乾燥を招き、赤みやかゆみなどのトラブルを引き起こす可能性があります。
フェイシャルマスクと同様にスチーマーも使用時間の目安を守って、正しい方法で使用してください。
保湿ケアを正しく行おう
保湿ケアは正しく行うことが大切です。
保湿ケアを行う際のポイントをご紹介します。
クレンジングはスピーディーに行う
クレンジングを実施する際は、約1分を目安にしてスピーディに行うようにしましょう。
クレンジングに時間をかけてしまうと、洗浄成分が肌に長くついている状態になり、肌に負担をかけてしまいます。
どんなに肌に優しいクレンジング剤であっても、スピーディーにメイクを落としていくことが大切です。
リップやマスカラなどのポイントメイクは、落とすまでに時間がかかるので先に落としておくことをおすすめします。
きめ細かい泡で洗顔をする
洗顔をする際は、きめ細かい泡を作るようにしましょう。
きめ細かい泡のほうが毛穴汚れやホコリ、ゴミが落ちやすくなります。
空気を含ませながら手の平で泡立てていくのがポイントです。
もし上手く泡立たないという場合は、泡立てネットなどを使用してみてください。
十分に泡立ったら皮脂量が多いTゾーンから洗顔していきましょう。
ぬるま湯を使用して、すすぎ残しがないように気をつけて洗顔剤を落としてください。
自分にあった保湿ケアアイテムを使う
自分にあった保湿ケアアイテムを使うのも大切なポイントです。
保湿ケアアイテムによって配合されている成分やテクスチャーが大きく異なります。
例えば、抗炎症成分が含まれているアイテムは肌荒れ改善に効果的ですし、ヒアルロン酸やセラミドなどが配合されたアイテムは乾燥を防ぎます。
また、ローションタイプはさっぱりとした使い心地ですが、オイルタイプはしっかりめに乾燥した部分をカバーします。
日焼け止めは季節問わず毎日塗る
日焼け止めは季節問わず毎日塗ることをおすすめします。
「紫外線が多い夏しか塗らない」「晴れている日だけ塗る」という人も多いですが、紫外線は年中放出されています。
知らないうちに肌がダメージを受けている可能性があるので、毎日日焼け止めクリームを塗って紫外線を防止しましょう。
定期的に角質ケアを行う
スキンケアにおいて角質ケアも重要な役割を担います。
角質ケアは毎日行う必要はありませんが、定期的に実施するようにしましょう。
ターンオーバーが乱れてしまうと、古い角質が肌にたまっていきます。
触り心地がゴワゴワとしてしまいますし、くすみや黒ずみが目立つようになります。
角質ケアで古い角質を除去できていれば、化粧ノリが良くなり、美容成分が肌に浸透しやすくなります。
肌に合わせた保湿ケアは効果的
自分の肌質に合った保湿ケアを行うことが大切です。
肌質ごとにケア方法をご紹介します。
オイリー肌の人に合った保湿
オイリー肌の方は、多すぎる皮脂を落としたいという思いから、肌を複数回洗いすぎる・強い洗顔料を使う方が多く、さらにベタつきを嫌がるあまりに保湿を最低限に抑えてしまう傾向があります。
その結果、必要な皮脂の不足・保湿不足によって皮脂が過剰分泌し、よりオイリーな状態に陥ってしまうのです。
洗顔のしすぎを止め、保湿のために伸びが良く軽いテクスチャーの乳液やジェルを使用しましょう。
重いテクスチャーの保湿剤は過剰保湿につながる恐れがありますので、注意します。
乾燥肌の人に合った保湿
乾燥肌の方は元から保湿に対しての意識が高く、保湿にこだわるあまりに保湿をしすぎてしまう恐れがあります。
水分が失われやすい肌であるため、しっかりとした保湿が必要なことに間違いありませんが、過剰保湿には気をつけなくてはいけません。
化粧水をたっぷりまんべんなく肌に浸透させた後は、その潤いを閉じ込めるようにクリーム状の保湿剤を使いましょう。
また、エアコンなどの影響によって日中に潤いが不足してしまうことも考えられるため、日中はミストスプレーなどを使って肌に水分を補給すると良いです。
混合肌の人に合った保湿
混合肌の方は自分の肌質を乾燥肌・オイリー肌のどちらかだと思い込んでしまっている場合があるため、まず自分の肌質を正しく理解しなくてはいけません。
乾燥しやすい部分=目元・口元・Uゾーン、オイリーになりやすい部分=Tゾーンの2パターンに肌質が分かれますので、それぞれ別の保湿剤が必要です。
Tゾーンには軽いテクスチャーの保湿剤を使い、乾燥しやすい部分には強い保湿力がある保湿剤を使用すると良いでしょう。
Tゾーンのベタつきが気になるからと言って、保湿を怠ることは避けてください。
普通肌の人に合った保湿
普通肌は皮脂の分泌量が整っている健やかな肌のことです。
もちろん保湿は必要ですが、現段階で肌が良い状態を保てているため、過剰な保湿によってそのバランスが崩れないようにしなくてはいけません。
しかし、加齢や季節の変化によって何もしなくても乾燥肌やオイリー肌に傾いてしまう場合もあります。
自分の肌の状況を敏感に察知しながら、その時々に最適な保湿方法を見つけるべきでしょう。
肌タイプごとの保湿方法について詳しく知りたい方は「肌を保湿する効果とは?乾燥肌やオイリー肌それぞれにあった正しい保湿方法を解説!」をご覧ください。
- Point
- オイリー肌は軽めのテクスチャーの保湿剤を選ぶ
- 敏感肌は保湿力の高いクリームタイプの保湿剤を使用する
- 混合肌は肌の状態に合わせた保湿剤を使い分ける
まとめ
今回の記事では、「保湿のしすぎって逆効果なの?」と疑問をお持ちの方に向けて、その真相を解説しました。
保湿しすぎると肌本来のバリア機能が弱まってしまい、肌トラブルを引き起こしやすくなります。
容量や回数を守ってスキンケアすれば問題ないので、説明書をしっかりと確認してスキンケアを行うようにしてください。
さらに、保湿ケアの方法が間違っていると効果を実感できない可能性があります。
また、紫外線対策も毎日行うことが大切です。
このようなポイントを守り、保湿ケアに効果のあるアイテムを使用して、肌質の改善を目指しましょう。